脊髄損傷。

去年の4月26日、
日曜日やった。
愛知に居る父は、
町内清掃中に、
家の前にある木の枝の伐採をしていて、
足を滑らせて川に落ちた。
たいして深くもない川やけれど、
打ち所が悪かった、
首の骨を折った。
ここでものすごく大きいのが、
首の骨だけでなく、
脊髄神経の損傷もあるのかどうか。
北海道で第一報を受けたのは、
怪我をして救急車で運ばれた、と。
そして第二報は、
ICUだ、と。
ICUと聴き、
それは大事やろう、
すぐ帰らなくてはと、
次の日に急遽、
愛知へと帰った。
愛知へ向かう途中にも、
母に、
神経損傷があると言われたか?
と聴くのだけれど、
そんなコト言われても分からない、
と。
確かに、
一般のヒトのカラダについての知識は、
あっても骨、筋肉、内臓、
くらいのモノやろう。
きっと大丈夫!と前向きに考えて、
地元の病院に着いた。
まだ手術中やった。
どれだけ待ったやろうか。
手術が終わると、
ドクターに呼ばれる。
それはもう、
ホントにドラマのようで。
レントゲンを観て絶句。
素人目に観てもよく分かる、
頸髄の損傷。
そして言われた。
一生歩けないと思ってください。
相当厳しい状況です、と。
 
返すコトバもないのだけれど、
そうですか。
と、
そっけないような返事。
ホントに、
返すコトバもないのだ。
人一倍の負けず嫌いで、
とにかくじっとしていない。
実家に居た頃、
父が1日家に居た記憶は、
たったの一度もなく、
寝てる姿も思い出せない。
いつも外にいるから、
日焼けして浅黒くて、
太い腕。
その辺の若者より、
よっぽど強いやろうと思う。
米農家だから、
一年中自然と共に居て、
木をよく知っていて、
風の匂いを嗅いで雨が降ると言う。
この木は年寄りだ。
少し手を入れてあげないと、
長く持たないなあと、
聴いてないけど、
木のハナシをいろいろしてくれる。
やっぱり、
自然が好きなんやろう。
その後、
ICUに戻ったからと聴き、
面会に行った。
頭蓋骨にボルトを差し込まれて、
固定されていた。
顔がパンパンに腫れていて、
一瞬、
誰が分からなかった。
もう、かけるコトバもない。
まだ意識混濁していて、
管が入っているから声も出せない。
これからどうなるんやろうか。
基本、
私は楽天的やと思う。
結局なるようにしかならんのやし、
今を認めて、
いつも今から始まり。
様々な可能性の中で、
最高の結果を目指せば良いだけのコトだ。
でも、
この日の夜はダメやった。
恐怖で寝れなかった。
人生って、
なんて酷やんやろう。
中途障害の苦しさ、
今まで何度も何度も聴いてきた、
ある程度の知識もある。
けれど、
こうして身内の身に起こり、
改めて思い知る。
生きてるだけで丸儲けだと思っている。
でも、
父はホントに、
丸儲けなんやろうか。
神様が、
まだ生きなさいと命を残された。
脳の損傷はないと聴いた。
それは、
この苦しみをイヤというほどに認識してゆくというコト。
人一倍キッチリしている、
そして強引な性格。
ヒトに自分のコトをあれこれ頼んで生きるなんて、
父の人生では有り得ないやろう。
以前には、
体調壊して入院しても、
良くなったからと、
勝手に帰ってきてしまったコトもあった。
それがもう、
勝手に歩いて帰れないと言うのだ。
あの日以来、
何気ない暮らしが大きく変わった。
私は、
北海道へ移住してやっと落ち着いた頃やった。
新たな雇用につき、
ますます忙しく働きたいと思っていた矢先。
そんなのは、
人間の勝手な都合であって、
運命には関係ない。
生かされている今に感謝。
命とじっくり向き合う。
ヨガを通して実践し、
味わい深めてきた。
つもりやった。
私自身、
それなりに苦しい想いもした。
命の素晴らしさ、
尊さ、
そして、
可能性は無限であるコト。
医療に文句を言うつもりはない。
憤りは山ほどあったけれど、
何しろ、
昔々なら淘汰されたやろう命が、
こうして医療のサポートにより、
生かされる時代。
そもそも何が幸せなのか、
価値観そのものにぶち当たる。
実践あるのみの人生において、
生かされるとは何なのか?
豊かさとはなんだ?
と、
どれだけに、
答えのない問いを持ち続けたか知れない。
それは未だに答えはないけれど、
ずっとずっと昔から知っていた、
五体満足である感謝、
その喜びを、
これほどに実感し、
痛く痛く味わったコトは、
少なくともなかったやろうと思う。
そして父は、
やはり強かった。
もちろん、
弱さもあって人間だ。
夜になるといろいろ考えて眠れないと、
観ていないテレビを、
ずっとつけておいて欲しいと言った。
父には何度も言ったけど、
生きている、
ただそれだけでスゴイと思う。
ただ生きながらえるのはイヤだ、
ひとつでも自分でやれるコトを増やすと、
小さなコトも工夫し、
取り組む姿はスゴイと思う。
日本には、
約10万人の脊髄損傷患者が居て、
毎年約5千人、
新たに脊髄損傷患者となるのだそうだ。
精神的に病んでしまうヒトも多いと聴いた。
そりゃ当然やと思う。
誰がこんな状態で「頑張れ」なんて言えるのかと、
何度も思った。
急性期医療から回復期医療へ。
受け入れてくれる病院が、
なかなか見つからなかった。
期限ギリギリとなり、
なんとかひとつ受け入れをしてくれる病院が見つかり、
そこへ転院したけれど、
ありがたいと思う中にも、
残念なコトも多かった。
施設はとてもキレイだった。
リハ室で働く方々は、
20代の若い方が中心のよう。
観ているのは人間だ。
壊れたネジを締め直す訳ではない。
リハの様子を観ていると、
血圧計ばかり見続けて、
父の顔をしっかり観るコトはほとんどない。
起立性低血圧は健常者でもあるし、
そんなのは、
顔色を見れば分かるのではないか。
本人は、
ちゃんとハナシも出来るんやし。
なんて言っても、
67歳の父と上手く雑談出来るようになるには、
もっともっと経験がいるんやと思う。
私だってそうやった。
今でこそ「雑談命」やと思っているけれど、
それ自体に気付くまでには、
たくさんの時間と経験をいただいて、
育てていただいた現場があった。
今だってそう。
試行錯誤しながらであるコトには変わりない。
その中で、
「場の空気」を作る。
「気持ち」が要。
気の持ちようで命の面持ちは変わるから、
そこに意識を向けて、
整えるコト。
相手が虚弱であればなおさら、
気の持ちようが、
相手の意欲を伸ばす。
技術知識は当たり前。
それをどう生かすかと、
そこから、
あれこれ考える。








自律神経機能が損なわれた父は、
少しの温度変化でのぼせたり、
震えたりする。
何気ないコトひとつひとつに、
ぶち当たる。







腹筋背筋が効かない。

と言うコトは、
咳ひとつ出来ない。
誤嚥すれば、
命にも関わる。
ひとつひとつに苦しみ、
乗り越え、
暗中模索の日々の中、
救いのような出会いをいただいて、
その後、
脊損に適したリハを受ける環境へもつながった。
そして今月の初め、
家に帰ってきた。
約1年。
バリアフリーの改修工事をした実家は、
別の家のように生まれ変わっていた。
昇降機。
車椅子のまま家に入れる。
ベットは最新式やそうで、
高さも角度もホントに自由に変えられる。
ベットから車椅子に移乗するにも、
サポートが必要。
「リフター」と言うのか。
正式名は分からないけれど、
まるで荷物の移動のようにカラダを布で包んで、
釣り上げる。
この姿を初めて観た時には、
それまでで一番に涙が出た。
介護者の腰を守るために、
とても便利で必要な道具やろうと思うのやけれど、
ヒトを釣り上げて移動するなんて、
想像したコトもなかった。


超高齢社会の中、
要介護者はどんどん増えるけれど、
介護者がまだいるうちはいい。


そのうちにこの国は、
他人にすら観てもらえない時代が来るやろうと思う。


入浴やトイレ、大変な介助だ。
そんな中、
娘の存在はホントに大きい。
たくさんの笑顔の種を蒔いてくれている。

昨晩は、
宿題の「音読」を大きな声でしていた。





痒い頭を掻いてくれたりもして。
眉間にシワを寄せて、
もうそれがとれなくなってしまったじいじやけど、
娘が来ると、
よく笑っている。
家のすぐそばには、
桜並木がある。
散歩にも出掛けた。












車椅子を押して歩いてみて分かった。






道がガタガタ、
坂道も多い。




あちこちに行こうと思ったけれど、
こんなに動きにくいモノなのだ、と。
桜はホントにキレイで。
何十年も暮らしたコトのある、
慣れたハズの場所なのに、
こんなキレイな桜があったかなあ。
もしこんな大怪我をしていなかったら、
親子2人して桜並木を散歩するなんてなかったやろうし、
父の顔を触ったり、
こんなに丁寧にハナシをするコトもなかったやろう。






だから良かった、とは、
とても言えないほどに父にとっては辛い現実だけれど、
少なくとも、
家族が集まらざるを得なくなり、
出来るコトを持ち寄るしかない状況。






結局はやっぱり、
生かされているから生きている。


これは間違えのない事実。


だからやっぱり、
生きるからには楽しく!




転んでもただじゃ起きないぞ!と。
























もう父には何度も言ったけれど、




意欲的に生きているだけでスゴイから。
と。
一家の主人として、
今の自分でも出来るコトを考えている、
と言う父。
もう、
スゴイから、ホントに。
と言いながら、
母とはどうしても気が合わずに、
あーだのこーだのとブツブツ言いながらの毎日(;^_^A
私もそうで、
母には、
なぜヒトの気持ちをなぜこれほどまでに労われないのかと、
腹がたってしまう。
こんなに乱されるヒト、
他には居ない。





いろんな価値観があり選択肢があるやろうけれど、
理解が出来なさ過ぎてイヤになる。






なぜこれほどまでに、
笑って話せないんやろうか。









母の娘であるコトは、
私にとっての修行やと思う。














なんて言いながらも、

大切に育てていただいた。













過保護過干渉な親は、


日本中にたくさん居るんやろう。


























それが辛かったから、


私はそんな親にはなりたくない。




















こんなにイヤだと分かったから、
それも良かった。
これからも、 
これで良し!はなく、
日々は続いてゆき、
また大変なコトもあるやろうと思う。

大変やと思えばなんでも大変。

経験やと思えば、
さらに学べる、
伸びる元になる。
朝行ってきます!と出掛けた家族が、
亡くなって帰ってきた。

今日も、
この今も、
残された家族の悲しみはあちこちにあるやろうし、
その苦しみ悲しみは、
なかなか消えないやろうし、
癒えない傷もあるのではないかと思う。








父は生きていてくれた。
そして、
自発呼吸をし、
ハナシをして、
時に笑っている。


やっぱり、
なんてありがたかったかと思う。

生きていてくれてホントに良かった。







ワガママを言って北海道へ行き、
生きて会えなかったとしたら、
私は一生、
その十字架を背負って生きていったやろうと思う。




父の娘であるコトに誇りを持っているし、
ココロから尊敬している。




そして、
母にはなかなかそう思えないコトを認めつつ、
母の底なしの純粋な優しさは、
分かっているつもり。






何より、
自分の体調が落ち着いて、
こうしてヒトを案じるゆとりがあるコトが、
何よりありがたい。






ある日突然の大怪我にて、
未来への不安でいっぱいな方々が、
今この時もいらっしゃるやろうと思う。






こうすると良い。

なんてないけれど、
やっぱり、
生きていてくれて良かったと思えるように、
朝の来ない夜はないのやと、
一筋のヒカリを辿りつつ、
少しずつでも進んでもらえたらなと思う。





その、
何かの勇気になれたらいい。







生きるのは本人で、
自分はまず、
「自分を生きる」コトが基本。













人命救助の二次災害を避けたいのと同じく、
自分の命を害し過ぎないよう、
自分を労わるコトはとても大切やと思う。












ひとりの人間にはそれほどのチカラはないし、
専門家に任せた方が良いコト、
家族だけでなんとかしようとしないほうが良いコトが、
たくさんあると思う。







幸運を引き寄せるくらいのポジティブにて、
歩いてゆきたい!




その原動力が枯れてしまっては、
みんなが共倒れになる。








だから私は、
父がこれほどの大怪我をしても、
北海道を引き払い、
愛知へ戻るコトはしないコトにした。

私は、
私の人生を幸せにするのが一番の仕事で、
それにより、
家族も幸せになる、
幸せにすると思っている。





愛知に居る娘にも、
そう伝えている。
だからこそ、
偉大なるサポートをいただいてのこの環境に恩返しすべく、
さらにさらに意欲的に、
前進してゆきたいと思う。



夢は叶えるためにある。


お父さん、
ますます楽しく生きよう!




生まれてきて良かった!
素晴らしい人生やった!
と、
いつかその瞬間に、
ココロからそう思えるように。





































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